季節の健康と漢方 - イライラ・不眠

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イライラ・不眠

春は進学、就職、引越しなど、環境が大きく変わる季節。気圧や天候の変化が目まぐるしく、朝夕の寒暖差もあります。そんななか、私たちの体は知らないうちにストレスや疲れをためてしまいがちです。
「心身一如」の言葉のとおり、ココロの不調はカラダの不調につながります。一日のなかで少しでもリラックスする時間をもつことも大切です。

イライラ・不眠とは

西洋医学では?

何となく体調がすぐれないと感じたら、それは自律神経の乱れが原因かもしれません。自律神経には体を活動モードに導く交感神経と、リラックスモードに誘う副交感神経があります。互いにバランスを取りながら内臓や血管のはたらきを調節しています。

東洋医学では?

五行説(※1)では、春は肝のはたらきが乱れ、気と血(※2)が上昇する傾向があるといわれています。現れる身体・精神症状として、イライラする、憂うつになる、血圧が不安定になる、動悸やふらつきがある、夜なかなか寝付けない、などがあげられます。

※1:五行説とは、自然界にあるものを「木・火・土・金・水」の5つの要素に分け、これらが互いに補い合ったり抑制し合って推移していく、という思想です。

※2:漢方では、身体を構成し、生命活動を続けていくための基本を「気・血(けつ)・水(すい)」の3要素で考えています。気・血・水の過不足や滞りがなく、バランスが取れていれば、健康であると考えます。

<五行説>のイメージと<気・血・水>のイメージ

イライラ、憂うつなど

食養生を取り入れよう

食べ物は、気・血・水をつくり出すための大切な原料です。漢方では、食べ物の味や特性によって五行に当てはめ、健康維持に役立てる考え方があり、これを食養生といいます。
イライラ、憂うつなどは、体内に余分な熱がたまることや、気の流れが滞ったり、逆流したりすることで起こるというのが漢方の考え方です。こうした状態を正すとされる食べ物を、毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

イライラ・憂うつ感・血圧変動におすすめの食べ物

余分な熱を冷ます(清熱作用)
・・・きゅうり、トマト、セロリ、アロエなど

肝のはたらきをととのえる(平肝作用)
・・・レバー、しじみ、あさり、菊花、クコの実、とうもろこしのひげなど

不安感をやわらげる(養心・安神作用)
・・・小麦、ユリ根、牡蛎、ハスの実、ナツメ、竜眼など

気をめぐらせる、鎮める(降気・行気・鎮静作用)
・・・しそ、薄荷(ペパーミント)、バジル、ローズマリー、カモミールなど

ぐっすり眠るために

リラックスを心がける

ストレスや不安感、心配事が多いと、布団に入ってもそのことで頭がいっぱいに。日中どんなにストレスフルな生活を送っていても、就寝前はリラックスを意識して生活してみましょう。
入浴はできるだけ湯船につかって体を芯まで温め、入浴後は湯ざめしないようにし、自然に体温が下がるタイミングで就寝するようにしましょう。とくに忙しいときは、足湯だけでも効果があるようです。
また、寝室にはテレビやパソコンやスマートフォンを持ち込まず、情報や刺激をシャットアウトしましょう。光や音が脳に刺激を与えてしまうのはもちろん、たくさんの情報に触れてしまうと脳が活発化し、目が冴えてしまうようです。

寝る前の飲食にも注意

就寝前に、アルコール類やカフェインを多く含むコーヒーなどを摂取すると、夜間のトイレの回数を増やしてしまいます。おすすめはカフェインの入っていないハーブティー。ハーブの香りには気分を落ち着かせたり、イライラを鎮めたりする作用があります。コーヒーや紅茶がお好きな方は、デカフェ(カフェインフリー)のものもあるので活用してみてください。

おすすめの漢方薬

処方名 こんな方に

はんげこうぼくとう

半夏厚朴湯
のどのつかえ・不安感
体力中等度をめやすとして、気分がふさぐ、胸がつかえる、のどに違和感がある方に。不安、神経性胃炎、せき、のどのつかえ感。

りょうけいじゅつかんとう

苓桂朮甘湯
めまい、立ちくらみ
体力中等度以下で、めまい、ふらつき、のぼせ、動悸がある方に。立ちくらみ、めまい、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏。

かみきひとう

加味帰脾湯
血色が悪く、眠れない
体力中等度以下で、心身が疲れている、胃腸が弱い、憂うつ感がある、熱っぽい方に。貧血、不眠症、精神不安、神経症。

さんそうにんとう

酸棗仁湯
心身が疲れて眠れない
体力中等度以下で、心身が疲れている、夢をみたり夜中目が覚める方に。精神不安、不眠症、神経症。

さいこかりゅうこつぼれいとう

柴胡加竜骨牡蛎湯
ストレスなどでイライラしがち
体力中等度以上で、精神不安がある、イライラ感が強い、感情の起伏が激しい方に。高血圧に伴う動悸、不安、不眠、便秘、神経症。

けいしかりゅうこつぼれいとう

桂枝加竜骨牡蛎湯
ささいなことが気になってしまう
体力中等度以下で、疲れやすい、些細なことが気になる方に。神経症、不眠症、夜尿症、小児の夜泣き、眼精疲労。

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