季節の健康と漢方 - 夏の冷え
夏の冷え
暑さが本格化してくると、クーラーの効いた部屋から出たくなくなるという方も多いのではないでしょうか。熱中症対策として涼しい空間で過ごすことは大切ですが、体を冷やしすぎないように注意が必要です。夏になってから不調を感じている方は、もしかすると冷えが原因かもしれません。このページでは夏の冷えについてご紹介します。
夏なのに体が冷える？
気温は高いのに手足の先だけ冷えていたり、お腹を下しやすかったりということはありませんか。夏の冷え症や胃腸関係の不調は、知らないうちに体が冷えてしまったことによるものかもしれません。また、夏バテのように体が重くてだるい、やる気が出ない、というのも冷えが原因となっている場合があります。
夏の冷えの原因
冷房の中で薄着
暑いときは薄着でいたいですよね。ただ、クーラーがしっかり効いた部屋では、体は外側からどんどん冷えていきます。また、冷たい空気は上から下へ流れるため、知らないうちに足元が冷えやすくなっています。
アイスや冷たい飲み物、夏野菜などを多く食べる
暑いからといって冷たいものをとりすぎると体は内側から冷えてしまいます。また、夏が旬の野菜や果物（きゅうり、トマトなど）も体を冷やす性質がありますので、食べすぎると冷えの原因となります。
運動不足＆シャワーで済ませてしまう
普段から体をあまり動かしていなかったり、湯船は暑いからシャワーで済ませたりという習慣は、血液の流れが悪くなる原因になります。
夏の冷え対策
体を温めるものを食べる＆飲む
食事では体を温める食材を取り入れましょう。ショウガ、ニラ、ニンジン、レンコンなどは体を温めると言われています。涼しい屋内にいるときは、白湯など温かいものを飲むと胃が温まるのでおすすめです。
主に足を温める
夏でも足首は温めるように意識しましょう。冬のようにカイロなどを使う必要はありませんが、足首まである靴下を履いたり、レッグウォーマーを履いたりすることで、クーラーの風で冷えすぎてしまうのを防ぐことができます。
適度な運動と入浴
スクワットや軽いウォーキングは、運動時に血流が促されるだけではなく、筋肉量の維持にも役立ちます。また、入浴の際は湯船にゆっくりと浸かってリラックスしましょう。時間がとれない場合は、洗面器で簡易的な足湯を行う方法もあります。
東洋医学の視点から
東洋医学には、体の中で気・血・水のバランスがとれていることで健康が保たれるという考え方があります。これら３つの要素は、いずれも足りなくなったり滞ったりしたときに、体の冷えを招きます。
「冷え」の治療は、漢方薬が得意とする分野の一つです。体の内側を温めて冷えを改善し、さらに冷えの原因をとり除くことにより治療を行います。
手足の冷え、腰の冷え、手足は冷えるが頭はのぼせる（冷えのぼせ）など、冷えを感じる部位やその感じ方に応じた漢方薬を使い分けることが特徴です。
おすすめの漢方薬
| 処方名 | こんな方に |
|---|---|
とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 | 下肢の冷えが強い方の、冷え症、しもやけ、頭痛、下腹部痛、月経痛などに。 |
しんぶとう 真武湯 | 体が冷えて胃腸症状がある方の、めまい、下痢、むくみなどに。 |
うんけいとう 温経湯 | 手足がほてって唇がかわく方の、足腰の冷え、しもやけ、月経不順などに。 |
とうきしゃくやくさん 当帰芍薬散 | 冷え症で貧血傾向の方の、しもやけ、耳鳴り、めまい、月経不順などに。 |
けいしぶくりょうがん 桂枝茯苓丸 | 足は冷えるのに顔はのぼせる（冷えのぼせ）という方の、月経不順、月経痛、更年期障害、肩こり、めまい、しもやけなどに。 |
